「現金」の範囲
簿記の勉強を始めて一番初めに習う勘定科目第一位は大抵の場合「現金」です。
「現金」は毎日の生活で触れていて馴染み深いので、授業で改めて「現金を勉強するよ」と言われたとき「そんなの簡単だよ。何か勉強することがあるの?」と思われた方もいるのではないでしょうか?
実は私はそう思ってました。
突然ですが、問題です。
金庫を調べてみると、期日がすでに到来した国債の利札¥1,000があったが、 まだ帳簿に記入されていなかった。
適切な仕訳を答えなさい。
形式は異なりますが、このような問題が実際に試験で出題されたことがあります。
わかりますか?
解答は
(貸方) 有価証券利息 1,000
です。
ちなみに、これができなくても合否に影響することはないので、仮にわからなかったとしても気にする必要はありません。
解説です。
さてポイントの解説です。
簿記で何が現金として扱われるか勉強した人は、期日がすでに到来した国債の利札は現金だったはず。だから借方現金だ。
また、国債の利札は国債という有価証券を持っていることによって受け取れる利息だから貸方有価証券利息だと考えて仕訳を書けばいいことになります。
ただ借方の現金は書けてもこの問題の貸方はなかなか書けないものです。
優先順位をつけると、一番重要なのは「何が現金に該当するのか」の借方の方です。
つまり簿記では日常生活でいうところの通貨(紙幣や硬貨)以外にも、
- 他人振出しの小切手
- 送金小切手
- 郵便為替証書
- 配当金領収証
- 期限の到来した公社債利札
を受け取ったら「現金」で仕訳しなさいと教わるので、借方現金がわかれば、3級の範囲としては十分と言えます。そしてもう少し知識がないと、空いている貸方に「有価証券利息」が入るということはわかりません。
ただ、仕訳は常に借方と貸方で二箇所以上に勘定科目を記入するので、片方しかわからないというのはさびしいですね。
そこで、「期日がすでに到来した国債の利札」についても解き方を考えてみましょう。
「期日がすでに到来した国債の利札」という単語を見る
「国債」=利息がもらえるのを期待して買っているはず。
「国債の利息」⇒「有価証券を持っていることで受け取れる利息だ」⇒勘定科目は「有価証券利息」
利息は収益だから貸方だ。
と、このように考えることができれば
(貸方) 有価証券利息 1,000
がわかり、借方は現金なので、
(貸方) 有価証券利息 1,000
と正解を導くことができます。
まとめ
このように簿記では、取引を常に2つ以上の側面から分析して書いていくので、簡単そうな「現金」でも意外な落とし穴があります。
なるべく、先入観を持たずに、注意深く勉強するようにしましょう。
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