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【140回試験向け2級工業簿記講座】第6回 わかりやすい!賃率差異の計上

工業簿記第4問で仕訳問題が出題された場合には、ちょっと難しく感じたとしてもこの講座で扱っている仕訳問題の解き方を使えば割と簡単に答えを出すことができます。

今回は賃率差異の計上について確認していきましょう。

労務費の予定配賦と実際の金額との差異

労務費は予定配賦が問われる場合が多いです。問題文中に「予定消費賃率を用いて計算する」などと書いてあれば予定配賦の問題です。予定配賦はあくまでも予定の計算なので、実際の金額とズレがあり差異が発生するのが普通です。ただし問題によって、その差異の計算が省略される場合(差異について触れられない場合)と差異の計算まで問われる場合があります。

132回第4問では賃率差異の計算まで求められたので、この問題の解説を通して労務費の予定配賦(差異の計算まで問われる場合)の解き方を確認しておきましょう。

直接工の直接作業時間は合計400時間、間接作業時間は合計200時間であった。直接工の消費賃金の計算には、1時間当たり1,500円の予定消費賃率を用いて計算する。賃金・給料勘定を用いること。

まず予定消費賃率と作業時間をかけ合わせて金額を計算しておきます。

  • 直接工の直接作業⇒仕掛品 1,500円/時間×400時間=600,000円
  • 直接工の間接作業⇒製造間接費 1,500円/時間×200時間=300,000円

となります。

予定配賦の考え方をもう一度復習しておくと

  • 予定=あらかじめ、前もって
  • 配賦=割り当てる

ということなので

予定賃率を用いる

前もって決めておいた時給を使って計算する

という意味になります。

賃金・給料は費用です。

この費用を直接工の直接作業であれば仕掛品、直接工の間接作業であれば製造間接費に割り当てます。

 

では賃金・給料仕掛品製造間接費に割り当てるにはどうすればいいかというと

直接作業分の金額だけ仕掛品を増やし、間接作業分の金額だけ製造間接費を増やし、この合計分を賃金・給料から減らせばよいということになります。

 

賃金・給料➡費用

費用の減少(費用からの振り替え)=貸方

 

(借方) 
   (貸方) 賃金・給料 900,000 

 

仕掛品➡資産

資産の増加=借方

 

(借方) 仕掛品 600,000
   (貸方)  

 

製造間接費➡費用

費用の増加=借方

 

(借方) 製造間接費 300,000
   (貸方)  

 

 この3つをまとめると

(借方) 仕掛品 600,000
(借方) 製造間接費 300,000
   (貸方) 賃金・給料 900,000 

 

となり、これが解答となります。

「労務費…予定配賦」とあったら、賃金・給料を減らすから「貸方 賃金・給料」

:-) 「予定は貸方です。貸方賃金・給料」

と覚えておきましょう。

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直接工の賃率差異を計上した。なお、前月未払高は400,000円、当月支払高1,100,000円、当月未払高は300,000円であった。賃金・給料勘定、原価差異勘定を用いること。

はじめの問題で予定消費賃率によって計算された賃金・給料の合計金額は900,000円でした。

これに対して、実際に発生した賃金・給料の金額はいくらか計算します。

実際の賃金・給料は当月支払高と当月未払高の合計から前月未払高を引いて求められます。

当月支払高1,100,000円+当月未払高300,000円-当月未払高400,000円=1,000,000円

これが実際に発生した賃金・給料の金額です。

つまり、予定していた900,000円に対し、実際には1,000,000円かかったので差額の100,000円だけ余計に労務費がかかったことになります。

そこで次にこの差額100,000円について原価差異(賃率差異)を計上していくことになります。このときの考え方を確認しておきましょう。

 

今賃金・給料という費用を予定配賦した分については

 

賃金・給料➡費用

費用の減少=貸方

 

(借方) 
   (貸方) 賃金・給料 900,000

 

と記入されています。

そして労務費の実際発生額は

 

賃金・給料➡費用

費用の増加=借方

 

(借方) 賃金・給料 1,000,000
   (貸方) 

 

と記入されています。

ということは、賃金・給料勘定は

 

(借方) 賃金・給料 1,000,000 実際
   (貸方) 賃金・給料 900,000 予定

 

の状態です。

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このままでは賃金・給料勘定の貸借が合いません。

そこで貸方の賃金・給料900,000円(予定)を実際の1,000,000円に合わせるにはどうすればいいかを考えます。👈ここがポイントです。

 

➡答えは、貸方が100,000円足りないのですから、この差額の100,000円だけ貸方 賃金・給料100,000円と記入すればよいことになります。

そこで

 

(借方) 
   (貸方) 賃金・給料 100,000

 

と記入します。

借方が空欄になっていますが、問題文の指示により原価差異勘定を記入します。すると

(借方) 原価差異 100,000
   (貸方) 

です。

この2つを合わせると

(借方) 原価差異 100,000
   (貸方) 賃金・給料 100,000

 

となり、これが解答の賃率差異計上の仕訳となります。

 

  1. 賃金・給料の貸方➡予定の金額(メモ)
  2. 賃金・給料の借方➡実際の金額(メモ)
  3. 予定を実際に合わせる➡不足している方に賃金・給料を記入する
  4. 相手側に指定の勘定科目(原価差異など)を記入する

という手順に従えば賃率差異計上の問題も必ず解けますので、この手順をしっかり覚えておきましょう。 

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