日商簿記3級を独学で合格するための学習プログラムを作りました。
巷では資格試験に関する勉強法の本があふれ、有益なことが書かれている本もたくさんあります。
ただ実際にどうやって勉強していけばよいのか、具体的に、いつ、何をすればよいのかを示しているものは案外少ないと思います。
そこで簿記講師の私が、「勉強したいけど具体的に何から始めればいいかわからない」という方に向けて学習プログラムを作ってみました。
勉強の方法や勉強に割ける時間は人それぞれ事情があると思います。どこか一つでも参考になるところがあればうれしく思います。
ちなみに以前、「試験まであと10日間という設定で独学で受かるにはどうすればいいのか」について記事を書いておりますので、興味のある方はお読みください。
推薦テキスト等を載せております。
どうすれば10日間独学で日商簿記3級に受かるか簿記講師が真剣に考えてみる - 日商簿記検定に合格する勉強法
やる気を出す
当たり前のことと思うかもしれませんが、資格試験の勉強は遊びではないので、楽しいことばかりではありません。
楽しくないことでもやらなければならないとなると、まずは勉強をやる気がなければ始まりません。
会社や学校から言われて仕方なく簿記の勉強を始め、勉強をやらされていると感じているような方はいらっしゃいませんか?
せっかく勉強するのに、言われたから仕方なく…という感じでだらだら勉強するのでは効率も上がらずやる気もなくなってしまいます。忙しい毎日の貴重な時間を使って勉強するのですから、やる気に満ち溢れた状態で勉強できるように心がけましょう。
具体的には、
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自分がいいと思った簿記のテキストを買ってくる
これが勉強のやる気を出すのに効果的です。
ポイントは
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自分がいいと思った本であること
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自分のお金で買った本であること
この2つです。
自分がいいと思った本であること
1の自分がいいと思った本であることというのは非常に重要です。
人からいい本だよと勧められた本でも、自分のフィーリングに微妙に合わないなあと感じられることはあります。
でも勉強するのは、あくまでも自分自身です。
ちょっと違うんだよなあ…と思ってモヤモヤした状態で勉強をするのではなく、たとえば自分はこの本のこの雰囲気やキャラクターが好きなんだ、だからこの本を使えば自分は勉強できるんだと思って勉強するほうが絶対に学習効果が上がります。
そこで自分が一番信頼できる、自分にとっての御守り的な存在になる本を自分で選び、買って勉強を始めることをおすすめします。
自分のお金で買った本であること
簿記のテキストはいろいろな出版社から出されていますが、現在は信頼できる内容のものが多く、大体どれを使っても合格するのに十分な力をつけることができます。
そこで一番いいのは、本屋さんに行って自分で内容を確かめ、「これなら勉強できそうだ」と思うものを買ってくることです。
そしてその際には、自分のお金で新品を買うということがすごく大切です。
自分のお金で買えば、その分を取り戻そうとして頑張って勉強しようという気になります。
また先輩や友達からもらった本があれば、それを使えばいいように思えますが、書き込みがすでにしてあったり最初から汚れているのではやる気が起きないかもしれません。
新品のきれいな本を用意して自分で書き込んで汚していくことがやる気につながります。
ぜひ試してみてください。
やる気を持続させる
よーし、資格を取るぞ!と意気込んで勉強を始めたところまではよかったけれど結局続けられなくてやめてしまった。
という経験は誰にもあると思います。
簿記の勉強も楽しいことばかりではないので、毎日の忙しさなどを理由に結局途中で挫折してしまう危険性があります。
そこでせっかく始めた受験勉強を、最後まで継続させるための工夫をいくつか考えてみました。
いちばん大切なこと
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易しい問題を大量に解く、または易しい問題を繰り返し解く
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手を動かして勉強する
易しい問題を大量に解く
簿記の勉強を少し初めて見るとわかるのですが、取引をもとに仕訳を書くこと自体はそれほど難しいことではありません。
ただし最初は簡単で数も少ないので余裕だと思っても、取引の数は先に行くにつれてどんどん増えていくので油断は禁物です。
実は簿記の勉強で大切なことは、問題文を見たら条件反射で仕訳が思い浮かぶくらいになるまで繰り返し練習することです。
仮に正しい仕訳が書けたとしても、ゆっくりやって時間がかかりすぎてしまうのでは制限時間内に解き終わらなくなってしまうからです。
そして条件反射で仕訳ができるようになるためには、易しい問題を大量に解くという方法が考えられます。
初めはゆっくりで大丈夫です。
易しい問題なので、一つ終わったら次、一つ終わったら次とどんどん次に進むことができます。
その中で次第に一問にかかる時間が短くなって、最後には条件反射で解けるようになります。
また同じ問題を何度解いても飽きないという方であれば、易しい問題を繰り返し解くことによっても同じ効果がもたらされます。
手を動かして勉強する
最近の資格試験はマークシート方式のものが多く、答案用紙に直に文字を記入する試験の方がむしろ少なくなってきましたが、簿記検定試験は答案用紙に文字や数字を書かせる昔ながらの筆記試験です。
試験本番で文字を書くのですから、練習である勉強中も手を動かして実際に文字を書いて勉強すべきです。
よく言われていることですが、手を動かすことが脳の刺激となり勉強中眠くなりにくいという効果もあります。
問題を繰り返し解き、自分なりの解き方を見つける
こうして順調に勉強を続けてくると、問題を解くときの方法として、ほかの誰とも微妙に違う「自分なりの解き方」というものが見えてきます。
この自分なりの解き方を見つけることが、今回の試験はもちろん、2級や1級へ進むときなどにも非常に役に立ちます。
前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、やる気を出し、やる気を継続させることを意識した具体的な勉強プログラムを次に示します。
本題:勉強の順序
簿記の場合にも効率の良い勉強の順序というものがあります。
全範囲を丁寧にやっていたのでは時間がかかりすぎて間に合わなくなる危険性があるため、重要度が高く効率よくできるものから優先して取り組んでいきましょう。
検定試験の問題構成
第1問 | 仕訳問題 | 20点 |
第2問 | 帳簿など | 10点 |
第3問 | 試算表 | 30点 |
第4問 | 勘定記入など | 10点 |
第5問 | 精算表 | 30点 |
ここに記載した通り3級の問題は全部で5問です。
配点の高い第1問仕訳問題、第3問試算表問題、第5問精算表問題でしっかり得点することが大切で、その試験対策はそのまま勉強方法につながってきます。
上記の表に各問の難易度の情報を合わせると次のようになります。
第1問 | 仕訳問題 | 20点 | 普通 |
第2問 | 帳簿など | 10点 | 難しい |
第3問 | 試算表 | 30点 | やさしい |
第4問 | 勘定記入など | 10点 | 難しい |
第5問 | 精算表 | 30点 | やさしい |
当然検定試験の実施回によって変動はあるものの、大体このような傾向になっています。
これに基づくと第3問試算表問題と第5問精算表問題は30点と配点が大きい上に、難易度はやさしくなっており、試験で合格するにはこの2問でしっかり点数を取る必要があることがわかります。
第3問対策
第3問は、資料が与えられ⇒それに基づいて仕訳を行い⇒集計して試算表に記入するという流れで解きます。
第3問で出題される仕訳はいずれも基本的なものですが、取引が多いためいかに効率よく処理できるかがポイントとなります。
第5問対策
第5問は、資料が与えられ⇒それに基づいて仕訳を行い⇒仕訳を精算表に記入しながら精算表上で集計を行っていきます。
第3問で問われるのが主に期中取引の仕訳であるのに対して、第5問は決算整理仕訳が出題されます。
第5問で出題される決算整理仕訳の中には毎回必ず出題される取引がありパターンが決まっているため、対策が立てやすいものです。
第1問対策
第1問は仕訳問題が出題されます。
第3問で出題される取引と比べると、問題文が長く複雑な内容になっているという特徴があります。
5つの仕訳問題中3、4問は正解しておきたいところです。
第2問、第4問対策
第2問と第4問は毎回各問とも10点前後、合計約20点の配点があります。
合格のためには決して無視することができない存在ですが、難易度が比較的難しい割に配点が少ないため、優先順位は低くなります。
各問の出題傾向に基づいた勉強の順序
以上の各問の出題傾向から、第3問試算表問題と、第5問精算表問題は簡単な割に配点が高いことからこの2問の対策を優先すべきといえます。
日商簿記3級を独学で合格するための学習プログラム
学習プログラムにまとめておきましょう。
(下記でリンク先があるものは、姉妹サイトに飛びます。)
1.簿記の仕組みの理解
とりあえず簿記の基本的なルールをまず学びます。
仕訳や勘定記入の方法を理解します。
2.第3問試算表問題で出題される取引を使い仕訳の反復練習
第3問では比較的簡単な取引が出題されます。
第1問の仕訳問題の場合、内容が複雑で時間がかかってしまうものもあります。
勉強を効率的に進めようとした場合、そのような問題にひっかかって時間を使ってしまうのはもったいないので、後回しにします。
第3問のやさしい仕訳問題をたくさん解き(または繰り返し解き)、仕訳の練習をすることで仕訳問題の解き方の感覚をつかみます。
第3問対策ページ作成予定
やさしい問題を大量に解くことが簿記の勉強を進めていく初期の段階では非常に有効です。
3.第5問精算表問題で毎回出題される決算整理仕訳の解き方を練習
第5問で出題される精算表問題は難易度は普通ですが、毎回似たような出題がなされるため、対策が立てやすいのです。
第5問の解き方をおさえてから、過去問を3問ほど選んで繰り返し解くことにより、第5問を得意にすることができます。
第5問対策ページ作成予定
4.第1問仕訳問題対策
第1問の仕訳問題には難しい問題もあるもののほとんどは基本的な問題です。
仕訳問題を解く練習が必要です。
5.第2問、第4問対策
第2問、第4問については、傾向が読みにくく対策が立てにくいものです。
後回しにして試験本番でわかる箇所だけ記入して部分点狙いで行くのが賢明だと思います。
時間がある方は、過去問を解いて対策を行うことで、試験対策は万全なものとなります。
以上が、日商簿記3級独学合格プログラムです。
下記のサイトに問題も掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。