労務費の仕訳の注意点
材料の次は労務費です。
給料は自分がサラリーマンとして受け取る給料の意味ではなく、店主として従業員に支払うお金のことなので費用であることを3級で学びました。
工業簿記ではどのような処理なるのか例題を解きながら確認していきましょう。
工場従業員への給料5,000円を現金で支給した。賃金・給料勘定を用いて仕訳をすること。
給料は費用です。費用は借方の科目です。
すると、
給料➡賃金・給料
賃金・給料➡費用
給料…を…支給した。➡費用の発生=借方
なので、
(貸方)
現金➡資産
現金で支給した➡資産の減少=貸方
(貸方) 現 金 50,000
となります。最後に両者を合わせると、
(貸方) 現 金 50,000
となり、給料支払に関する仕訳が完成します。
3級で勉強したのと同じなので大丈夫ですね。
労務費消費時の仕訳
この賃金・給料という労働力は目には見えませんが、工場に材料を投入するのと同じように工場内で消費されると考えて処理をします。
次の例題を考えてみましょう。
当月の労務費実際消費額を計上する。当月は時給1,000円×50時間消費した。
労務費の仕訳を考える前に、材料を消費したときの仕訳を思い出してみます。
材料は資産で借方の科目ですが、これを消費する(使う)場合、材料を減らしました。
材料➡資産
材料を消費した➡資産の減少=貸方
(貸方) 材 料 ×××
となります。
また、このとき仕掛中(製作中)の材料が増えると考えるため仕掛品という(資産の)勘定を増加させます。
仕掛品➡資産
仕掛中の材料が増加する➡資産の増加=借方
(貸方)
となり、最後に借方と貸方を合わせ
(貸方) 材 料 ×××
となりました。
この仕訳の材料を賃金・給料に置き換えれば労務費を使ったときの仕訳になります。
労務費➡賃金・給料
賃金・給料➡費用
労務費を消費する➡費用の減少=貸方
時給1,000円×50時間=50,000円なので、
(貸方) 賃金・給料 50,000
また、労務費が工場に投入され仕掛中(製作中)になると考えられるので
仕掛品➡資産
資産の増加=借方
(貸方)
借方と貸方を合わせ
(貸方) 賃金・給料 50,000
となります。
製品完成時の仕訳
最後に製品が完成した時の仕訳です。
工場に投入された労務費50,000円分が製品として完成した。製品に振り替える仕訳を書くこと。
完成品は製品という勘定を使います。
製品は資産です。
仕掛品だった50,000円分が完成品となり、製品が増えたと考えることができます。
製品➡資産
製品が完成した➡資産の増加=借方
(貸方)
また製品が完成したということはその分仕掛品が減るので
仕掛品➡資産
製品が完成した➡資産の減少=貸方
(貸方) 仕掛品 50,000
借方・貸方を合わせると
(貸方) 仕掛品 50,000
となります。
まとめ
このように賃金・給料の処理は
- 従業員に給料を支払ったとき(=費用の発生、賃金・給料)
- 労務費が消費されたとき(=仕掛品への振り替え)
の2つが区別できるかどうかが重要なポイントです。
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